私が出会った数え切れない悲しみと新生への希望・・・・

13.最後に・・・・・

 多民族国家のアフガニスタン。
 同じ国内でも言葉が通じない場合が多々あります。
 だから民族同士の争いごとが絶えません。
 子供の頃から教育を受け、読み書きを学び、自分の考えを相手に伝えたり、異なる意見を尊重することを学ぶことによって争いは防げるはずです。
 平和キャンプでは異なる民族同士で意見を出し合っているといいます。
 深く話してみるとお互いの誤解が解けたり、意見が食い違っていても、妥協点や理解できる点が見つけられることでしょう。
 そうすれば暴力に頼る必要はないということに気づくことが平和への第一歩だと思うのです。

 最近、アフガニスタンでは教科書の絵が、銃から果物に変わりました。
「銃が一つ、銃が二つ」から、「ブドウが一つ、ブドウが二つ」へ

 誰しもが平和の中で行きたいと願っているのに、どうして平和を保つのはこんなに難しいのでしょう。
 幼い頃から暴力や戦争を目の当たりにし、内戦や侵略によって国を破壊され続けてきた、平和を知らないアフガニスタンの子供たちに、生命の尊さを、そして平和の大切さを教えていくのは私たちのような外国人には難しいのかもしれません。
 けれど、子供たちと一緒に過ごして、どれほど子供たちが愛情を欲しているのか痛いほど感じました。
 親や兄弟や友人を亡くし、そして自分自身も傷ついた、小さな子供たちの恐れと悲しみをいったいどうすれば癒すことができるのでしょう。

 アフガニスタンで行われた不当な暴力に対して抗する術を、私たちは持ち合わせていません。
 平和を望む一般の人々は戦争を行う人間の前では無力です。
 しかし多くの人たちが武器に頼らず人道的支援を行い、効果を上げていることも事実です。
 アフガニスタンの人々に、遠く離れていても私たちは見守っているということを、そしてこの広い世界の大切な一部だということを伝えなければいけません。
 私たち一人一人が世界の平和を望み、他者と関わり、理解しようとする努力を惜しまなければ、ゆっくりと、しかし確実に世界は変化していくのではないでしょうか。

 傷ついた子供たちの心が癒される日まで・・・・・。

藤原紀香

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